第10章
アレクサンダー教授を離宮にお招きしたい――その私の密かな願いは、父王の盛大な勘違いによって、思いがけず実現することとなった。
どうやら父上は、私が避暑先で退屈のあまり、勉学に焦がれていると解釈されたらしい。すぐさまグレゴリー執事をソランド学院へ遣わし、アレクサンダー教授を賓客としてクリスタル湖の離宮へ丁重にご招待したのだ。
その知らせを受けた時、私は危うく紅茶を噴き出しそうになった。確かに教授に来ていただきたかったが、それは決して向学心に燃えてのことではない。
その夜の晩餐会で、アレクサンダー教授が食堂に足を踏み入れた途端、陽気なざわめきに満ちていた場の空気は一瞬にして凍りつい...
ログインして続きを読む

チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章

7. 第7章

8. 第8章

9. 第9章

10. 第10章

11. 第11章

12. 第12章

13. 第13章

14. 第14章

15. 第15章

16. 第16章

17. 第17章


縮小

拡大